我が子が無事に育ちますように、と祈る心は自然の感情です。子育てほど苦労のしがいがあるものはない、とよく言われるそんな親心が、初宮詣・七五三参りなどに代表される人生儀礼として伝えられてきました。
日々の営みの中で、互いの無事を願い、喜びをわかち合う人生節々のまつりは、あらためて親子の絆と生命のつながりを実感させてくれます。
それぞれの通過儀礼に込められた願いと意義を今一度見つめ直す一助になればと願っています。
安産祈願(帯祝い)
安定期に入った妊娠5ヶ月目の戌の日(多産でお産の軽い犬にあやかって)に、赤ちゃんが岩のように丈夫に育ちますようにとの意味の込められた「岩田帯」をしめて命の誕生を喜び、母体の安全と無事に赤ちゃんが生まれることを願って安産祈願をします。
誕生
新しい生命の誕生は「子宝に恵まれる」「子が授かる」と言われますが、神様の恵みを戴いて無事誕生したことに感謝をささげ、両親はもちろん家族一同そろって一家の幸福をお祈りします。
お七夜と命名
家族の祝福を受けて赤ちゃんが誕生しますと、7日目のお七夜に名前をつけるのが習わしです。名前は一生のものですから、子どもの末長い幸せを祈り、子どもに贈る、最初で最高の贈り物と言えるかもしれません。
初宮詣
日取りは地方によって差がありますが、30日前後または100日前後に地元の氏神様に参拝し、誕生させていただいたことへの感謝と共に今後の健やかな成長をお祈りします。尚日取りは、赤ちゃんの様子、冬や夏の厳しい気候の時など必ずしも日数にこだわることなく、お参りされるとよいでしょう。
お食い初め
生後100日目または120日目ころに、お食い初めをします。赤ちゃんに初めてご飯を食べるまねをさせ、一生幸福に育ち、食べるものに困らないようにとの親の願いが込められています
初節句
生まれて初めて迎える節句を初節句と言います。女子は3月3日の上巳の節句に、男子は5月5日の端午の節句にお祝をします。初節句と初誕生日は、ともに無事に育ったことを感謝し、健やかな成長を願ってお祝いします。
七五三詣
北海道では気候の関係から10月15日に行う習慣がありますが、一般的には11月15日に、これまでの成長を神様に感謝し、これからもいよいよ立派に無事成育するよう祈願します。本来は数え年で行いますが、過ぎてしまった場合は実年齢でも結構です。
男の子 | 女の子 | |
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3歳 令和4年生 | 髪置(かみおき) | 3歳 令和4年生 |
5歳 令和2年生 | 袴着(はかまぎ) | |
帯解(おびとき) | 7歳 平成30年生 |
成人式
満20歳となった男女を祝福する儀式ですが、古来の公家で初めて冠をつける「初冠」・武家で前髪を剃る「元服」に由来します。今日では、様々な権利を得ると同時に義務も生じます。自分の行動すべてに責任を持たなければならない立場になったことを自覚する節目でもあります。
結婚式
結婚は数ある人生儀礼の中でも最も晴れやかな節目です。二人が結ばれた御神縁に感謝し、長い人生を互いに手を取り合って苦楽を共にし、幸福な家庭を築き、子孫の繁栄を神様に誓い合います。
結婚記念日
記念日を祝う習慣は欧米より伝えられたもので、日本における始りは明治27年に明治天皇の銀婚式「御大婚25年祝典」が行われ、その後一般的にも広まりました。最も日本に定着したのは銀婚式と金婚式ですが、1年ごとに二人が無事に過ごせたことを喜び合い、記念日や新年の初詣の折などに、気持ちを新たに神様に誓い合い、互いに感謝の気持ちを贈りましょう。
1年目 紙婚式 | 7年目 銅婚式 | 13年目 レース婚式 | 35年目 珊瑚婚式 |
2年目 綿婚式 | 8年目 青銅婚式 | 14年目 象牙婚式 | 40年目 ルビー婚式 |
3年目 革婚式 | 9年目 陶器婚式 | 15年目 水晶婚式 | 45年目 サファイア婚式 |
4年目 書籍婚式 | 10年目 錫婚式 | 20年目 磁器婚式 | 50年目 金婚式 |
5年目 木婚式 | 11年目 鋼鉄婚式 | 25年目 銀婚式 | 55年目 エメラルド婚式 |
6年目 鉄婚式 | 12年目 絹婚式 | 30年目 真珠婚式 | 75年目 ダイヤモンド婚式 |
厄年
竹や木に節があるように私たちの人生にも特に気をつけねばならない変化の節目の年を、人々は豊富な経験に基づいて「厄年」と名づけて心身を祓い清めてつつがなかれと祈り、今後の人生を幸福に力強く生きる契機とする「厄祓い」の神事が行われています。
男性 | 女性 | |
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前厄 | 24歳 平成13年生 | 18歳 平成19年生 |
本厄 | 25歳 平成12年生 | 19歳 平成18年生 |
後厄 | 26歳 平成11年生 | 20歳 平成17年生 |
前厄 | 41歳 昭和59年生 | 32歳 平成5年生 |
本厄 | 42歳 昭和58年生 | 33歳 平成4年生 |
後厄 | 43歳 昭和57年生 | 34歳 平成3年生 |
前厄 | 60歳 昭和40年生 | 36歳 平成元年生 |
本厄 | 61歳 昭和39年生 | 37歳 昭和63年生 |
後厄 | 62歳 昭和38年生 | 38歳 昭和62年生 |
年祝い
両親や祖父母をはじめ、一家のものが長寿であることほどおめでたいことはありません。それぞれの年には、無事に人生を送れたことへの喜びを神様に感謝し、ますます壮健で長生きするよう祈願しましょう。長寿の祝は、家族一同そろうことがなによりのお祝いとなるでしょう。
年祝 | 年齢 | い わ れ | 令和6年の年祝 |
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還暦 | 61歳 | 10干(甲乙丙・・)、12支の組み合わせは全部で60組。61年目に生まれた年と同じ干支に還ることから。 | 昭和39年生 |
古希 | 70歳 | 中国の詩人、杜甫の詩にある「人生七十、古来稀なり」に由来。 | 昭和30年生 |
喜寿 | 77歳 | 「喜」と言う文字をくずし書きにすると七十七と読めるところから。 | 昭和23年生 |
傘寿 | 80歳 | 「傘」の略字が八十と読めるところから。 | 昭和20年生 |
米寿 | 88歳 | 「米」の字は離して書くと八十八となるところから。 | 昭和12年生 |
卒寿 | 90歳 | 「卒」の略字は「卆」と書き、九十と読めるところから。 | 昭和10年生 |
白寿 | 99歳 | 「百」と言う字から「一」をとると「白」となるところから。 |
大正15年生 |
葬儀(神葬祭)
お葬式というと仏式の葬儀を思い浮かべがちですが、神道式で行われるお葬式のことを「神葬祭」といいます。神道では、生命は永遠に連結する霊魂不滅の思想に基ずいています。人間は両親がいて生まれてくるものですが、受けた生命は両親からさかのぼる祖先、そしてその祖先がさらに昔の祖神から授かったものと考え、その様な大事な命だからこそ、「人生のまつり」を大切にしてきました。神葬祭では亡くなられた方の「御霊」を霊璽(仏式の位牌にあたる)とご遺体(遺骨)に遷し留め、その家の永き守り神となって戴く様、生前のご功績を称え、在りし日の故人を偲び厳粛に葬送の儀を行います。葬儀の後の「御霊」は、家の祖霊舎とお墓(奥津城)に鎮まります。常に私たちのそばで私たちを見守ってくれている「祖先のまつり」が大切に続けられます。